「まがいものの乙女たち」に向けてインタビュー⑥ 福田みゆきさん

「まがいものの乙女たち」インタビュー第六弾は、HOME所属の福田みゆきさんです。今までの活動や、今回の作品について、ぎっしり語っていただきました。

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 —それではまず、自己紹介からお願いします。

福田みゆき(以後福田):福田みゆきです。所属はHOMEという、アートネットワークで、京都にいた頃の知り合いに誘われて入った団体です。メンバーは全国にいて、劇作家やダンサー、美大生だった方などが集まり、舞台公演をしたりアイディアを出し合ったり、またアートに関係ない分野でも話し合えるような、ジャンルにとらわれないコミュニティのようなものです。必要があれば劇団だと説明することもあります。銀河ホール学生演劇祭(通称ギンガク)のプレ開催で舞台作品を発表する際に団体名が必要になり付けられたHOMEという団体名なのですが、帰る場所のようであったり、誰でも入っていいし、いつ出ていってもいいような……自由な集まりです。リーダーがいるわけでもなく、そのときやりたい同士がなにかをやるような。

柳田:制約が無いのにひとが集まってくる団体って、面白いですよね。

福田:劇団っていう体制が苦手なひとでも、ひとと一緒に集まらないとできないことが出来るのは魅力的だと思います。この間は岩手に芝居を作りにいったり、フットワークが軽いところもいいなと思っています。ふらふらしてたいんですよね……しばりがあるときつくなってしまうので、合っていると思います。

安藤:雰囲気的には、もしかすると私たちも近いのかもしれません。

福田:そうですよね、雰囲気としてはゆるい…というか、理由の無い緊張感みたいなのを必要としない、というか。

 —今まで出た公演で、印象に残っているものを教えてください。

福田:印象に残っているのは、HOMEに入るきっかけになった「わたしのあいだ」という公演です。物語の間の「何も無い時間」を拾っていくような作品で、帰ってくるひとを待っている間の何も無い時間を、今は移転しましたが京都市下京区のFactory Kyotoの一室をお借りして公演しました。お客さんから「この作品を私物化したい、誰にも理解される必要なく、自分だけのものにしていたい」といった感想を頂いたことを鮮明に覚えていて、それがとてもうれしかった。一年後、別の場所(被差別部落の地域の、団地の屋外)で再演をしたのですが、地域のことを意識し、またちがう角度から本を読み解いていきました。それを観ていただいたお客さんの感想も「私たちのための話だ」と言われて。……どこでやっても、その地域に根ざすことが出来るような、自分にとってとてもだいじな作品です。劇場でしてしまうと、変わってしまうとは思うんだけど。特に、二回目の「わたしのあいだ」は、屋外でやったことにものすごく意味を感じます。部屋の中で守られながらやるのではなく、外に流れている、その地域や住まいの音と一緒にやれたことに意味があったなと。

 —今度の作品に参加しようと思ったのは、どんなきっかけでしたか。

福田:まず、お話を頂いた時点で会って話を聞きたいなと思って稽古場に行き、初見の台本で「とりあえず一緒に読み合わせしよう」と言われ、しかも「この役やってほしいんだけどなあ」ということまで更に言われ、むちゃぶりだー、と思いましたが……(笑)齢も近いこともあるのかもしれませんが、今までやって来た、「舞台で初めて会ったひととどうやって仲良くしたら…」という問題はほとんどなく、すぐコミュニケーションとれる仲になれたなと思います。ギチギチの劇団じゃないから、かもしれないけど。

福田:作品は、面白くなりそうかどうか、正直最初の段階ではわからなかったけど、「こういう感じをつかめば」という……「自分がこの本をやる上で、どういうことを考えたらいいか」とか、「お客さんに何を伝えようか・何を感じ取ってほしいのか」、そういうことを思い浮かべることができたので、参加しようと思いました。それから、このホンを上演しようとしてる人たち、つまり灯台とスプーンの人々が、この作品世界やテーマに対して興味があるかなと考えて……たまに居ますよね、あるネタに対して無理してイメージを出してるひとって。台詞のひとつひとつを読んでいくと、田村さんはじめ皆さんそのテーマに向き合っていそう、興味を持ってそうだなと思い、オファーを受けることにしました。

 —作品についてはいかがでしょうか。

福田:最初はドロドロしていそうなイメージが強くて、昼ドラとか、そういうところから持って来た方がいいかな、と思っていたのですが、意外と日々、この話の種になるようなことは起こっているなと思い、身に覚えがあるようなひととの距離の取り方や考え方を感じ取り、「ああ私も女だな」と思うところがあり……。もしかしたら処世術としての、同じような行動をしている可能性もあるなと、感じる作品ですね。

福田:自分の役についても、自分に似ている部分を見つけて、想像を膨らませています。この台詞を相手にかける目的って一体何だろう、なんのためだろう、という。自分が同じ状況のときにかける言葉のニュアンスは変わってくるかもしれないけど、その気持ちの感じというか、そのあたりはとても近いなと思って。言葉に捕われると大変なので、一度そこから離れて、気持ちから乗せていくような感じで、作っています。

 —最後に一言お願いいたします。

福田:8人の乙女が、うごめいて……「青春」という言葉によって隠されている部分の時間を描いていると思います。着るのは私じゃないですが、役者さんのセーラー服姿も見どころです!ぜひお越し下さい♥︎


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灯台とスプーン第二回公演
「まがいものの乙女たち」
作・演出:田村さえ

日時

2016年2月
19日(金) 19:00~
20日(土) 14:00~/18:00~★
21日(日) 14:00~/18:00~

★…深町将詞氏によるアフターライブ有。

開演30分前より開場いたします。

会場

紺屋2023 konya-gallery
(福岡市中央区大名1-14-28 第一松村ビル202)

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