「まがいものの乙女たち」に向けてインタビュー⑧ 安藤美由紀
「まがいものの乙女たち」インタビュー第八弾は、代表の安藤美由紀。
—それでは、ごあいさつからお願いします。
安藤美由紀(以後安藤):灯台とスプーン代表の安藤美由紀です。
よろしくお願いいたします。
代表…と名乗ってはいますが、作・演出は田村に、制作や衣装は柳田に担当してもらっているので、基本的には役者と、運営のこまごまとした部分を担当しています。
「狐/真夜中の共謀」について
—狐についても少しお話を。
安藤:私が演じたのは千春という、大学で民俗学を研究する教授の助手をしている女性でした。………んー……(どう演じたらいいのか)わからなかったです、本当に。笑 とにかくどんな人物かを聞いて、理解できなくて、聞いて、理解したつもりになって、でもうまくいかなくて…をとにかく繰り返していましたね。稽古後も毎回ファストフード店にいって共演者のかたたちに読み合わせをお願いして、それでも理解できないことやうまくいかないことが多くって。それでも、少しずつ、千春が身近に感じられるようになっていって、それがとても嬉しかったです!
—かなり苦労している様子だったけど、最後は本当に千春になっていた。
安藤:役として生きる感覚に少し、触れられた…ような気がして、でもそれは自分で作り出したというよりも、共演者のかたたちからその感覚をもらえた、というか。浜松さんと君島くん、柳田、田村のおかげで千春として生きることができた…と感じています。この作品自体は、私が田村に灯台とスプーン結成の話をする前から田村の中にあったようで、台本も何稿も書き直されていたのを覚えています。色んなバージョンがあって、前回上演したものとは違う結末もありました。もし別の結末を選んでいたら…どうなっていたんでしょうね。笑
安藤:(小声で)また機会があれば、再演…したいです。
作品について
—では、つづいて「まがいものの乙女たち」について。
安藤:テーマは「過去との戦い」です。すごく、戦ってます、主人公。彼女が囚われている事柄は、もしかしたら共感できないかたもいるかもしれません。でも、きっと誰にでも、囚われている過去ってあるんじゃないかな、とも考えていて。忘れようと思えば思うほど過去に捕まって逃れられなくなったり、何事もなく過ごしていたのにふとした瞬間急に苦しくなったり、過去からの攻撃を受けている人は少なくないんじゃないかな…なんて、私は想像してるんですけど、どうでしょうね。
初稿から、ほんものの「まがいものの乙女たち」になるまで
安藤:今回の作品、初期の頃は主人公と主要人物以外は、いわゆるモブとしての扱いだったんですよ。それが、稽古を重ねれば重ねるほどに群像劇に近づいていったんです。それがすごく面白いな、と。稽古の後半には台本自体が差し替わって、ひとりひとりが生きている世界が見えてきた。主人公はいるけれど、各々に自分の生きている世界があって、戦っている。そう思うと、さらに無限の可能性がこの作品にはあるな、と感じています。
—今回の役づくりについてはどうですか。
安藤:前回の千春のときにも感じたことなんですけど、今回演じる女の子も、私が作ったというより一緒に演じている方たちにつくってもらった、と思っています。まわりが私のことを役として接してくれることによって、だんだん自分が彼女になっていく…というか。彼女であることを人から認めて貰えて初めてその世界で生きられるようになる…んじゃないかな、と。笑
ただ、そこに達するまでがなかなかに大変で…!今回も前回同様かなり苦労しましたし、今も模索中な部分は沢山あります。だからこそ特に大事にしているのが、共演者との役の擦り合わせです。自分の演じている役がどんな人間だと思うか、イメージをとにかく人から聞き出して、自分のイメージとどう違うかを考えていくようにしています。
—では、最後にひとことお願いします。
安藤:今日が2/14で、もう本番まで1週間もないんですけど、出演者全員が稽古場に揃ったの、今日が初めてなんです。でも、その通し稽古がすごく良くて…!!涙目になってしまう人が続出して。それくらい、良いものが溢れています。これはもう一人でも多くのかたに観ていただきたいです。
ぜひ、いらしてください。
皆様のお越しを座組一同心よりお待ちしております。
灯台とスプーン第二回公演
「まがいものの乙女たち」
作・演出:田村さえ
日時
2016年2月
19日(金) 19:00~
20日(土) 14:00~/18:00~★
21日(日) 14:00~/18:00~
★…深町将詞氏によるアフターライブ有。
開演30分前より開場いたします。
会場
紺屋2023 konya-gallery
(福岡市中央区大名1-14-28 第一松村ビル202)